組子障子を取り入れてデザイン性の高い和室づくり|伝統文様の意味やお手入れ方法もご紹介

組子障子を取り入れてデザイン性の高い和室づくり|伝統文様の意味やお手入れ方法もご紹介

日本の伝統的な美を感じさせる「組子障子」。組子による幾何学的な伝統文様は、和洋問わずさまざまな空間に似合い、また意味合いからも好まれます。

この記事では、組子障子の基本的な知識から、人気のある伝統文様の意味、そしてお手入れ方法まで詳しく紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

組子とは?

組子とは?

組子(くみこ)とは、和室に欠かせない装飾のひとつで、釘を使用せず木材を組み合わせて精密な文様を編み出す建具の伝統的技法です。

主に障子やふすまなどの戸や窓の枠に施され、空間に独特の影を落とすことで和室ならではの落ち着きと美しさを表現します。

組子による障子枠の種類

組子による障子枠の種類

組子による障子枠の種類は、主に8つ挙げられます。それぞれの特徴は、次のとおりです。

荒組障子(あらぐみしょうじ)最もスタンダードな障子です。W900×H1800mmの場合、横方向に4等分、縦方向に6等分して組子を施します。
竪組障子(たてぐみしょうじ)荒組障子の横の組子はそのまま、縦の組子の間隔を半分にします。
竪繁障子(たてしげしょうじ)竪組障子の縦の組子を、さらに半分の間隔に狭めた障子です。
横組障子(よこぐみしょうじ)荒組障子の縦の組子はそのまま、横の組子の間隔を半分にします。
横繁障子(よこしげしょうじ)横組障子の横の組子を、さらに半分の間隔に狭めた障子です。
枡組障子(ますぐみしょうじ)組子の縦と横が正方形になるように組んだ障子です。モダンな雰囲気を演出できます。
吹き寄せ障子組子の間隔が広い箇所と狭い箇所を交互に並べて組み合わせた障子です。
変わり組み障子組子をななめに組んだり、伝統文様をあしらうなど、デザイン性を強調した障子です。組子障子とも呼ばれています。

組子細工による伝統文様の意味

組子細工による伝統文様の意味

組子細工のデザインに用いられる伝統文様には、それぞれ意味があります。ここでは、人気の文様デザインを10パターン紹介します。

1.麻の葉

日本の伝統的な文様のひとつである麻の葉は、真ん中に点が配された六角形を繰り返し並べたデザインです。このデザインは麻の葉を模したもので、その名前がつけられました。

まっすぐ育つ麻の葉は、子どもの成長を願うという意味が込められてます。また、麻は神聖なものとして神事に用いられていたことから、厄除け・魔除けの意味合いもあります。

2.七宝

七宝(しっぽう)は、円環が絡み合ったデザインを指し、組子障子の中でも特に美しさが評価される文様です。名前の由来は、仏教における「七つの宝物」からきており、人々に富や繁栄をもたらすと言われています。

図面上では、交差した円が組み合わさって形成されるこの文様は、一見複雑に見えますが、実はそれぞれの円環が同じ大きさで描かれています。そのため、規則的な美しさと落ち着きを感じさせることが特徴です。

3.胡麻

胡麻は、胡麻の実の断面をモチーフとした模様です。胡麻は古くから、長寿の薬として重宝されていたことから「不老長寿」「健康」など、縁起物として好まれています。

美しい直線的な文様は、和モダンにもよく似合い、レストランや飲食店で多く用いられています。

4.桜

日本で最も親しまれている桜をモチーフにした文様です。桜は新たな始まりを象徴するため、新生活をはじめるときにぴったりです。

また、華のある桜はどんな空間にも似合うことから、組子デザインの中でも高い人気を誇ります。

5.蜀江

蜀江(しょこう)は、中国の「蜀」にあった河の名前が由来とされ、その地域で織られた錦に使用された模様です。中国では八が縁起の良い数字とされ、八角形を基本としたデザインが特徴です。

恋愛成就、夫婦円満、長寿などの意味合いから、ホテルや結婚式などで好まれています。

6.三重菱

三重菱(みえびし)は、三つの菱形が重なり合った形を表現したデザインです。繁殖力が強い特徴があることから、子孫繁栄、無病息災を願う意味合いが込められています。

和室だけでなく、洋風な空間にも似合い、衣類や家具にも施されています。

7.千本格子

千本格子は、その名の通り無数の細長い格子が一直線に並んでいます。繊細な縦線が織り成す美しいパターンは、飽きのこないデザイン性を持ち、古くから多くの人に愛されています。

格子のマス目は魔物を見張ると言われ、魔除けの意味があります。また、数の多いマス目により子孫繁栄の思いも込められています。

8.三つ組手

三つ組手は、三本の木材を組み合わせた基本的な組子になります。一見シンプルなデザインですが、その中にも和の美意識が込められています。

三角形は、普遍的な概念と形、美しさを感じさせ、組子においてはすべての良し悪しを決める大事な文様です。また、数字の3はさまざまな国で幸福を呼ぶとされており、縁起の良さも表します。

9.青海波

青海波(せいがいは)は、半円を重ねて波を模した文様です。穏やかに広がる海、無限の波をモチーフに「幸せな暮らしがいつまでも続きますように」と願いが込められています。

また、波の形が扇の末広がりの形に似ていることから、多くの日本人に好まれ、和食店や寿司屋で用いられています。

10.竜胆

竜胆(りんどう)は、伝統文様のひとつであり、その独特なデザインは空間の美しさを引き立てます。名前の由来は、竜胆の花に似ていることからきています。

「源氏物語」「枕草子」にも登場する竜胆は、平安時代から好まれ衣装の文様にも使用されてきました。和洋問わず、空間を華やかに演出する文様です。

組子障子のお手入れ方法

組子障子のお手入れ方法

組子障子を長持ちさせるには、定期的な手入れが重要です。ホコリは、エアスプレーやはたきで払い落とします。

水拭きしたい場合は、きれいな布に水を含ませてかたく絞ってから、軽く拭き取りましょう。塗装されていない白木などが使用されている場合は、シミになる可能性があるため注意が必要です。

障子組子でよくある3つの質問

障子組子でよくある3つの質問

最後に、障子組子でよくある質問にお答えします。

  • 質問1.障子を張り替える方法は?
  • 質問2.障子の寒さ対策はできる?
  • 質問3.障子や木枠のカビ取り方法は?

それぞれ詳しくみていきましょう。

質問1.障子を張り替える方法は?

障子を自身で張り替える方法は、以下の3つになります。

  • のり貼り
  • アイロン貼り
  • 両面テープ貼り

障子の張り替えは難易度が低く、初心者でも張替え可能です。次のページでは、障子の張り替え方法をわかりやすく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【初心者向け】破れた障子穴の補修方法|必要な道具から貼り替え方まで徹底解説! – DIYドア通販本店

質問2.障子の寒さ対策はできる?

障子の寒さ対策には、次の7つが挙げられます。

  • 穴をふさぐ
  • 隙間テープを貼る
  • 障子紙を断熱障子シートにする
  • 太鼓張りで障子紙を貼る
  • 内窓を設置する
  • 雪見障子にして断熱ガラスをはめる
  • 断熱リフォームする

詳しい手順は次のページにて紹介しています。あわせて参考にしてみてください。

関連記事:【初心者向け】障子の寒さ対策7選!障子が和室を冷やしてしまう理由についても解説します! – DIYドア通販本店

質問3.障子や木枠のカビ取り方法は?

障子や木枠のカビ取り方法は、主に次の5つです。

  • 漂白剤を使用する
  • カビ取り剤を使用する
  • 消毒用エタノールを使用する
  • 障子紙を張り替える
  • 業者に依頼する

障子や木枠にカビが発生した場合、見つけ次第取り除きましょう。軽度の場合は、漂白剤や消毒用エタノール、カビ取り剤を使用して自分で取り除くことが可能です。

なお、次のページでは、カビが生える原因や予防策についても紹介しています。

関連記事:【プロが教える】障子や木枠のカビ取り方法は5つ|原因や予防策もあわせてご紹介! – DIYドア通販本店

まとめ

まとめ

ここまで、組子に用いられる伝統文様の種類や意味を紹介しました。組子は、古くから日本で愛される建具の伝統的技法です。

日本家屋に主に使用されていることが多いですが、和洋問わず現代的なモダン空間にも似合います。組子障子を取り入れたデザイン性の高い和室づくりにもおすすめです。

なお、次のページでは、襖を障子に変えるメリットとデメリット、襖をリフォームするその他の方法を紹介しています。

関連記事:襖を障子に変える4つのメリットについて徹底解説!障子以外の方法も紹介