長押(なげし)とは?鴨居との違いや種類からよくある質問まで徹底解説!

長押(なげし)とは?鴨居との違いや種類からよくある質問まで徹底解説!

和室の上部にある長押は、平安時代から使われてきた歴史があります。現在では、目的や用途を変えて和室・洋室を問わずに幅広く使用されるようになりました。

この記事では、長押の種類や鴨居との違い、後付けできる長押などについて詳しくご紹介します。

長押(なげし)とは?

長押(なげし)とは?

長押とは、和室の壁を囲むように使われている化粧部材です。

特に、障子などの開口部の上にある長押は「内法長押(うちのりなげし)」と呼ばれています。一般的に、この部分が長押とされています。

従来、長押には柱を固定する構造物としての役割が求められてきましたが、施工方法の発展によって必ずしも使わなければならないものとはされていません。

しかし、書院造の装飾として使われつづけており、現在でも和室に欠かせないものとして利用されています。

元々、長押には実用的な役割は求められていませんでしたが、上部の出っ張り部分にハンガーをかける・長押フックを使って小物を吊るすなど、壁面を有効活用できることが魅力です。

鴨居との違い

長押と似ている部材には「鴨居(かもい)」が挙げられます。鴨居とは、和室の襖や障子を立て込む役割があり、上部に取り付けられた横木のことです。

建具を滑りやすくするための溝がつけられており、襖や障子をスムーズに開閉させるために使われています。また、鴨居と対をなすものが敷居と呼ばれています。

長押の種類

長押の種類

長押は壁や床、取り付け位置によって種類がさまざまに分けられており、以下のようなものが挙げられます。

  • 柱の最下部をつなぐ:地長押
  • 縁側に設けられた:縁長押
  • 壁の中ほどなどにある:腰長押
  • 開口部の上にある:内法長押
  • 天井の蟻壁の下に設けられた:蟻壁長押
  • 天井の回り縁のすぐ下に設けられている:天井長押

先ほども解説したように、長押として一般的に連想される内法長押です。

長押の歴史

長押の歴史

長押は、現在の和室に当たり前のようにある存在です。日本には飛鳥時代に朝鮮を経由して中国から入ってきた寺院建築が独自に発展したものとされています。

当初は、扉などを収める補助具として使用されてきましたが、横揺れを防ぐ構造材として取り入れられてきたようです。

鎌倉時代に入ると、建築技術の発展から構造物としての役割を終えてしまいました。しかし、長押は住む人の格式を表すものとして残り続けています。

さらに、明治へと時代が移ると封建社会からの脱却を意識して、庶民の家でも長押がつけられるようになったそうです。

洋室に長押をつけることも増えている

洋室に長押をつけることも増えている

和室に取り入れられている長押ですが、壁面を収納スペースとして活用しやすくなるため、現代風にアレンジして洋室につけることも増えています。

一般的に、洋室の壁はフラットに仕上げられていることが多く、長押を設置することで収納スペースとしたり、ディスプレイスペースとしたりするなど、インテリア性を高めることを目的としています。

後付け可能な長押

後付け可能な長押

部屋の種類を問わずに、長押を後付けできる商品も豊富に販売されています。そのため、洋室にも簡単に長押を取り入れることが可能です。

また、サイズやカラーなどにもあらゆるものが揃っているため、用途や目的に合わせて幅や奥行きを選べます。部屋に限らず、玄関やキッチン、洗面所などスペースがある場所にも長押を取り付けられるため、住宅の便利さやインテリア性を向上させる効果が期待できるでしょう。

長押フックの種類は豊富にある

長押フックの種類は豊富にある

後付けできる長押以外にも、便利なアイテムがあります。長押と組み合わせて使える「長押フック」は、壁面のデッドスペースを有効活用するために取り入れられています。

たとえば、帽子やバッグを吊るす・写真や絵をディスプレイすることが可能です。長押フックは、カラーや素材なども豊富な種類がそろっているため、インテリアや部屋のイメージに応じて選べます。

長押を取り付けるときの3つの注意点

長押を取り付けるときの3つの注意点

長押を取り付けるときの注意点には、以下の3つが挙げられます。

  1. 賃貸では壁にダメージを与えないように
  2. 材質を確認する
  3. 耐荷重の確認

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

1.賃貸では壁にダメージを与えないように

賃貸住宅では、壁にダメージを与えてしまうと、退去時に現状復旧費用を請求されるおそれがあります。そのため、賃貸住宅で長押を取り付ける場合、細いピンやネジで固定し、取り外した時にも跡が残りにくいタイプが最適です。

また、取り付ける前に壁の材質と長押の相性についても調べておきましょう。対応していない壁と長押を組み合わせてしまうと、壁紙が剥がれてしまうなど破損の原因となります。

2.材質を確認する

後付けできる長押には、材質の種類も豊富にそろっています。用途や目的と材質が合っているかを確認し、長押を使用する部屋やシーンごとに使い分けるようにしましょう。

特に、水を扱う洗面所やトイレ、キッチンなどでは、木製の長押を避けるようにし、ステンレス素材のものを選ぶと安心して使えます。ほかにも、ディスプレイとして活用したいときには簡単に取り付けできるものを選ぶとよいでしょう。

3.耐荷重の確認

取り付ける長押の耐荷重についても確認しておきましょう。収納スペースとして活用する場合、耐荷重の範囲内で使うようにし、負荷がかかりすぎないように注意してください。

耐荷重を超えて使い続けると破損してしまう原因となり、壁を傷つけたり長押自体が落ちたりしてしまうことにもなりかねません。このようなことを防ぐためにも、決められた耐荷重の範囲で使用するようにしてください。

長押に関するよくある2つの質問

長押に関するよくある2つの質問

長押に関するよくある質問には、以下の2つが挙げられます。

  • 質問1.長押の目的は何ですか?
  • 質問2.鴨居と長押の違いは何ですか?

ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

質問1.長押の目的は何ですか?

長押とは、和室の壁をぐるりと囲む構造材として使われてきました。時代を経て、構造物としての役割はなく、化粧材として和室の見た目を高める・格式を表すことを目的に取り入れられています。

さらに現代では、インテリア性を高めることに使われており、ハンガーや長押フックを取り付けて収納スペースやディスプレイとして使われています。また、洋室などにも後付けできる長押も販売されており、あらゆるタイプの部屋に取り入れることが可能です。

質問2.鴨居と長押の違いは何ですか?

鴨居とは開口部の上についている横木です。襖や障子などの引き戸をはめ込む溝が設けられています。鴨居には建具を滑りやすくするための溝がつけられており、襖や障子をスムーズに開閉させることが目的です。

つまり、鴨居は和室の開口部に設けられた引き戸を固定して開け閉めすることが目的、長押は装飾的な意味合いとして使われていることが違いだといえます。

まとめ

まとめ

長押に関することを解説しました。長押は元々、柱と柱を支える構造物として発展してきました。しかし、現在では装飾部材やインテリア性を高めるものとして、幅広く取り入れられています。

また、目的や用途に合わせて後付けできるものも豊富に販売されているため、洋室などにも活用することが可能です。後付けできる長押の注意点についてもご紹介しましたので、ぜひ参考にして自宅にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、次のページでは、鴨居について紹介しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。

鴨居とは?種類や活用術、綺麗に使うための掃除方法について徹底解説!

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